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第2回電話リレーサービス(以降TRSと表現)実験結果報告


1 目的
  第1回TRS実験に引き続き、特にオペレータの在り方、オペレーティングを行う上での操作上の問題点を具体的に見つめなおし、オペレータの資格・教育方法などを検証する。

  なお、当試験運用に際しましては、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会、日本電気(株)及びNTTドコモ関西のご協力をいただきました。

2 期間
  平成12年9月1日(金)〜平成12年11月30日(水)
    月曜日〜金曜日  午前10時〜午後7時

3 場所
  東京都渋谷区内の(株)自立コム社内にTRSセンターを設置

4 設備
  センター側のTRS関連設備は次のとおり
センター受信装置:NEC社製MGR700
アプリケーション:ECOT3 Ver.3.0 (キーボード入力、筆談、Font変換機能付き)
着信通報装置:  Ameriphone, Inc. AM-6000信号装置にスポットライトを装着
ヘッドセット:  Acoustical Innovations Inc. Inspire LX-80
 

5 ユーザ側機器
 
ECOT専用機 (ECOT1 アプリケーション搭載:筆談装置)
NEC社製モバイルギア(R-500, R-530 ECOT2/3アプリケーション)
Mobile Gear for DoCoMo(ECOT1.5 アプリケーション:筆談専用)
Sigmarion (ECOT3 アプリケーション)
ECOT3 Ver.3 Windows98用ソフトウエアをインストールしたPC

6 オペレータ
  自立コム社員(3名)及び守秘義務契約済のボランティア2名(不定期)

7 TRS実験の概念図
  ECOTソフトを内蔵する専用機、モバイルギア又はWindows PCなどから、センターにアクセスし、友人、家族、官公庁、ホテルの予約係りなどに音声電話で会話の中継を依頼し、ユーザと相手が同時に会話をするシステム


8 実験結果データ
  -1 ユーザプロファイル
32
32
合計 64
性別比

1 東京 30
2 千葉 8
3 埼玉 9
4 神奈川 7
5 群馬 3
6 長野 1
7 静岡 2
8 大阪 2
9 兵庫 1
10 福岡 1
  合計 64
地域別

TRS実験への参加者は合計64名で、約半数は第一回TRS実験からの継続ユーザ。
参加者は、男女半々。
また、地域的にも兵庫、福岡などの広がりがでた。



-2 TRSアクセス状況
期間中のコミュニケーション種別、発信回数、総接続時間数及び1通話平均会話時間

  実働日数 主なコミュニケーション方法 総着信
回数
接続不可
件数
総発信
回数
総接続時間数
*(d:h:m:s)
月別
接続時間
1通話平均
接続時間
  筆談 KeyBoard 合計
9月 20 21 54 75 84 10 91 00:12:41:00 42% 00:00:08:22
10月 21 24 40 64 69 5 70 00:10:21:57 34% 00:00:08:53
11月 20 18 30 48 49 1 52 00:07:15:46 24% 00:00:08:23
合計 61 63 124 187 202 16 213 1:06:18:43   00:00:08:32
* 総接続時間(d:h:m:s):日:時間:分:秒を表します。つまり、この表の合計は、30時間18分43秒となります。


音声電話への発信回線種別

  PSTN 090 070 0120 0080/0070 合計
9月 90 1 0 0 0 91
10月 64 4 0 1 1 70
11月 50 1 0 0 1 52
合計 204 6 0 1 2 213


一回のアクセス毎の音声電話への平均通話回数
9月 10月 11月 合計
1.23 1.09 1.08 1.13


時間帯別着信回数
9月 10月 11月 3ヶ月 合計
1 〜 11:00 7 4 1 12
2 11:01 〜 12:00 8 4 3 15
3 12:01 〜 13:00 9 3 3 15
4 13:01 〜 14:00 10 5 6 21
5 14:01 〜 15:00 8 5 4 17
6 15:01 〜 16:00 12 11 8 31
7 16:01 〜 17:00 14 7 4 25
8 17:01 〜 18:00 6 6 9 21
9 18:01 〜 10 24 11 45
84 69 49 202



9 実験終了後のアンケート調査結果
  -1 参加者全員に対し12月1日、FAXとメールにてアンケートを依頼。12月6日を締め切りとした。
  有効回答数: 12名

-2 期間中何回利用したか?
  総利用回数:  73回 (0回から15回まで)
  一人平均:   6.1回

-3 TRSアクセスに利用した機器は何か?
今回は、NEC、NTTドコモ関西などの協力で、Mobile Gear, Mobile Gear for DoCoMoなどの機器をお借りし、希望者に配布した。また、PCでの利用を希望した方には、ECOT3のWindows 98版を提供。

-4 TRSアクセスに利用した電話回線の種類は何か?

アンケートでは、公衆電話も回答項目にあったが、回答者はゼロであった。

また、携帯電話には、ドコモとJ-Phoneが含まれる。今回、アンケートの中で、職場でのビジネス回線での接続がうまくできないという意見が多かった。モデム接続用のソフトであるため、接続のできないケースが多かった様子。

-5 TRSの利用目的は何か?

アンケート回答数は、各項目内容に対して利用したかどうかの質問であり、その具体的な利用回数ではない。
これらの回答以外の具体的な利用内容としては、次のような回答があった。
1 レストラン、その他の予約
2 国勢調査収集時間の変更依頼
3 商店の在庫確認
4 各地の観光案内所への問い合わせ
5 宅急便、郵便物の配達時間の指定


-6 TRSを利用した感想は?

アンケート中、TRSは必要ないと答えた人は1名で、サービスそのものの必要性というよりは、機器の扱いが難しく利用しにくかったことをその理由に挙げている。
まあまあと回答した人は4名いたが、それぞれ、感情を入れない事務的なサービスとしては必要と答えたり、今回のサービス時間帯が生活時間と合わなかったりという点を上げているため、TRSそのものを否定的に捉えた回答はなかったといえる。


-7 利用した機器の操作性は?

機器の操作性については、今後、大いに研究開発の努力が求められている。ECOTソフトの操作性と同時に汎用機での利用については、ある程度のPCなどの知識が必要となり、ユーザを限定する結果となることを避ける必要がある。
早急に、携帯性、操作性を熟慮した専用・汎用端末の開発が重要なテーマである。
具体的には、通信モジュールを内蔵した端末の開発が第一義的に求められている。


-8 オペレータについて感じたことは?

第二回 TRS実験の主要テーマであり、オペレータについてのアンケート結果は次の項目で詳細検討を行う。
オペレータについて、“違和感を感じたか?”の調査ではほとんど違和感はなかったものの、オペレーションには不満もあった様子が伺える。
具体的な指摘としては、オペレータにより、対応の仕方が異なったとの指摘があった。


-9 ユーザのプロファイル

 

-10 アンケートの「オペレータについて感じたことや意見」の回答
内容
1. 通訳(文字変換)が遅いため、お互いのタイミングが合わなかった
2. オペレータのキータッチの速さが必要。今回のサービスではかなりキータッチが遅かった
3. 感情など微妙なニュアンスをつかみにくい。事務的な話であれば大変便利に感じる
4. オペレータによって、対応の仕方が異なった

-11 アンケートの「その他何でもお気づきの点」の回答
内容
1. 会社から利用したが、電話回線にノイズが入り、利用できなかった
2. なかなか電話にでてくれない。センターへのつながりやすさが必要
3. 前回と違い、仕事後の利用しかできなかった。利用したい時間にサービスが必要
4. 平日ではなく、土曜日などにやって欲しかった
5. 普段PCを利用しているので、CHATのように文書入力を別の枠にするか、文章処理ソフトのように書き込めるようにして欲しい。←文字の上に書き込むので見えにくくて入力しづらい。(筆談画面利用)
6. コピー&ペースト機能をつけて欲しい
7. センターへ自動的につながるようにできないか
8. ソフトが扱いにくい。TTYのように一回打ったら、向こうのタッチが終わるまで打てなくなるような仕組みが必要。また、相手先の会話の流れがつかみにくいときがある
9. 機器の操作は簡単だったが、説明書に詳細なところがなく理解しづらかった
10. Windows用プログラムが起動時にエラーメッセージを出したり、不安定だったので、改善して欲しい
11. PC用アプリで、盲聾者や視覚障がい者も操作できるように音声読み上げソフトに対応して欲しい。また、肢体不自由者のキーボードによる利用も考慮して欲しい
12. 12 持ち物がいくつかあり大変なので、小型・軽量化して欲しい

-12 ボランティアとしてオペレータを体験しての感想
1. ユーザが機器操作に不慣れなため、筆談画面を移動できずこれ以上書けないと思ったらしく、回線を切ってしまうケースがあった。
2. ユーザが電話の相手に対して不満や怒りを伝えるために利用しているのだが、その思いをどのように電話口の相手に伝えるか苦しい思いをした。
3. ユーザが予約などを申し込んだ時、電話に出た人の性別を気にすることがあった。オペレータを含めてお互いが性別を知った方が会話しやすいのではないか。仮に産婦人科の予約を取りたい場合、症状を説明しなければならないが、これは男性を通じては言いにくいだろうと思う。
4. ユーザからの接続要求があったとき、“誰々 03 xxxx xxxx”とだけ書かれ、文章になっていない時などに、内容の解釈に迷うことがあった。自分が誰で、誰に掛けたいかがわかるような一定の形式が必要。
5. 聾者などの独特な表現形式などがあるようなので、オペレータは聾者に特徴的な表現や行動などを勉強する教育制度が必要。
6. 守秘義務のために、相談や話がしにくかった。事務所内のTRS関係者だけとでもオープンに話し合って、運営上の情報や疑問を共有できれば、オペレータの技術やサービスも向上すると思う。
7. キーボード操作、対応の仕方なども含めたオペレータの研修プログラムを早急に作成して欲しい。
8. センター側のPC画面を大きくして欲しい。キーボードが小さすぎ、扱いにくかった。


 

10 第二回TRS実験のまとめ
 
-1 今回の実験では、利用方法と目的を理解した方々の繰り返しの利用が目立ち、すでに生活の中の新しい通信手段として定着しつつあるユーザもいる。
一方では、センターへのアクセスそのものが、回線事情などにより難しくTRSの利用価値を知る前にわずらわしいサービスという印象を持った方もいる。

今回のテーマであったオペレータの在り方については、その存在に違和感を持った方はほとんどいなかった。ただ、キーボード操作の迅速化や会話としての流れをつかむ訓練などが必要であることが指摘された。
ユーザはオペレータを信じ、かなり個人的な会話まで行われていた様子であった。このような信頼感を絶対的なものとするため、早期にオペレータの資格制度を確立することが重要である。

第一回目と比較し、一通話あたりの平均会話時間が、6分57秒から8分33秒に延びた。これは、先回が筆談を中心としたサービスであったのに対し、キーボード入力による方法を重視したことに関係するかもしれない。ユーザ、オペレータともにキーボード入力のスピードが十分でないことは、ユーザからの指摘にもあった。
全体には,センターへのアクセスが簡単であり、利用時間に制限がなければ、TRSは聴覚・発声障がい者にとって、より実用的で便利な通信手段であることは十分に理解できた。
アンケートでは特に触れなかったが、期間中、折にふれて、音声合成、音声認識技術の研究開発について求められた。将来は、極力オペレータの人力ではなくコンピュータによる自動変換が可能となるよう求められている。
また、多くの方より、インターネット上からのTRSアクセスや一般のCHATソフトやメールソフトでもセンターと会話できるようなセンター設備にして欲しいという要求を受けた。
結論としては、本格的なTRSは、利用料金を誰が、どの程度負担するかという問題を残してはいるが、実運用可能な状況にあり、とにかくサービスを開始する時期に来た。同時に、まだ、TRSについて認識のないユーザや障がい者団体に対する組織的な情宣・教育制度と活動が絶対に必要であることを痛感した。

-2 アンケート調査が指摘した3つの大きな問題点:
1. 機器(ハード、ソフトを含む)の操作性とアクセスの難しさ:
- 通信モジュールを内蔵した操作の簡単な端末の開発が必要
2. サービス時間帯の不都合:
- 実験とは言え、実際に利用したい時間は夜間だったりするので、24時間サービスは絶対条件
3. オペレーティングの統一性と迅速化
- 「もしもし」という電話の呼出に相当する合図からはじまり、自分を名乗り、誰を呼び出すのか、または会話の終了を知らせる合図をどうするかなど、ユーザとオペレータの間の基本的な「通信プロトコル」の統一化とユーザへの普及。この中には、ユーザ、オペレータ、音声電話の相手も全員が、それぞれの性別 をどのように知らせるかなどもプロトコルの中に含める必要性あり
- オペレータのキーボード入力の正確さとスピードを確保する必要あり
- オペレータの資格・教育・研修制度を事業者として早急に策定する必要あり




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